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荒井 陽一; 佐野 雄一; 菅沼 隆; 比内 浩; 池田 昭*; 小畑 政道*; 柴田 淳広; 野村 和則
no journal, ,
東京電力福島第一原子力発電所の汚染水を処理する多核種除去設備の運転に伴う二次廃棄物として、前処理設備から2種類のスラリー、多核種除去装置から7種類の吸着材が発生する。これらに含まれる放射性核種等の分析には、試料を完全に溶液化した後、妨害成分の除去や分析成分の濃縮等の前処理が必要である。本研究では、難溶解性フェロシアン化合物の溶液化に関する基礎データの取得のため、Csを吸着した模擬廃棄物試料の熱分解特性と、熱分解生成物の酸溶解性を調査した。500Cで熱分解した試料を用いて実施した各溶解試験の結果、硝酸に対する溶解性は、硝酸濃度が高く溶解時間が長いほど高くなり、これらの条件に依存する傾向が認められ、濃硝酸(約13mol/L)を用いた4時間の溶解では100%に近い溶解率に達した。混酸は濃硝酸と同等の溶解率を示し、硫酸の溶解率は約70%と他の条件と比較しても低い傾向にあった。なお、吸着したCsは、熱分解処理試料の溶解条件には依存せず、約90から100%と高い回収率が得られた。以上より、熱分解と酸溶解法を組み合わせた前処理により、Csを吸着した難溶解性フェロシアン化合物の溶液化の方法として採用できる見通しを得た。